厚生労働省によれば、労働基準法第9条で定められる労働者に、フリーランスが該当するかどうかは使用従属性による判断基準と労働者性の判断を補強する要素で判断されるとしています。指揮監督下での労働なのか、報酬の労務対償性があるかがカギになります。つまり、労働を拒否できるか、勤務する場所や時間が決められているか、月給制・時給制が採用されているか、残業代や欠勤控除があるか、が見極めのポイントです。加えて、業務で使用する機器などが会社から貸与されているなどの支給品であるかも要素の1つになります。
これらの判断基準とフリーランスの特性を比較した場合、労働基準法でいうところの労働者には該当しないといえます。フリーランスは、仕事を受注するかどうかを自身の裁量で決められます。勤務する場所や時間に関しても制限はありません。報酬についても、月給制・時給ではなく、残業という概念も存在しません。そのため、法律上の労働者には該当せず、労働基準法の保護を受けられないということになります。
そこで考慮すべきなのが、労働時間と業務量のバランスです。例えば、発注する側が限られた期限の中で大幅に労働時間を割かなければならない業務を依頼しても、報酬さえ支払えば法律違反にはなりません。労働時間と報酬を比較した結果、最低賃金を下回るような業務でも問題ないのです。また、月1回以上賃金を支払う必要もないので、例外を除けば数ヵ月後に支払っても問題ないということになります。
フリーランスは法律上の労働者に該当しないとはいえ、広い意味での「労働する者」ということには変わりありません。厚生労働省が明示している判断基準に抵触する場合、フリーランスでも労働者性が認められます。例えば、拘束時間が決められており、取引先からの指示が常にある場合、正社員と同じ条件になるので労働者性があると判断される可能性が高いです。労働者と判断された場合、会社は労働基準法に則って報酬を支払う義務があります。1日8時間以上の労働や、深夜労働をさせていた場合は割増賃金の支払いも必要です。また、半年以上働いていた場合は年次有給休暇の付与も求められます。
そこまで多くないケースですが、このような契約で働いているフリーランスは自身の労働状況を見直してみましょう。これまでの労働時間、業務量、報酬などを整理し、労働基準法に違反するようであれば会社に訴えを起こすことができます。
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