労働者を使用する者(会社)が守らなくてはいけない労働条件を定めた法律が労働基準法です。契約は当事者の意思によって自由に決定できるので、会社と従業員がどのような労働条件を定めるのかは本来自由です。しかし、会社と従業員という立場の違いを考慮した場合、会社が有利な立場になるのは間違いありません。そこで、労働基準法によって契約に一定の規制を設けることで、従業員を守ることができます。労働基準法には賃金や労働時間、休日に関する一定のルールが設けられており、これに違反した場合には罰則が与えられます。
なお、従業員を1人でも雇用する場合、原則として労働基準法が適用されます。全ての従業員が対象なので、正社員に限らず契約社員や派遣社員、パート・アルバイトも含まれます。
労働基準法の主な内容をいくつかピックアップして紹介します。
「労働条件の明示(労働基準法第15条)」は、会社が従業員と労働契約を結ぶ際に、賃金や労働時間などの労働条件の明示を定めたものです。原則として書面での交付になりますが、労働者が希望した場合はメールやSNSでの交付も認められます。
「解雇の予告(労働基準法第20条)」は、会社が従業員を解雇する場合に、解雇日の30日前までに予告することや、30日前までの予告がない場合には30日分以上の平均賃金を支払う必要があることを定めたものです。
「休業手当(労働基準法第26条)」は、会社の責任によって休業した場合、その期間中の手当を支払うよう定めたものです。経営悪化による仕事量の減少、監督官庁の勧告による操業停止などがあった際、会社は従業員に対して平均賃金の100分の60以上を支払う必要があります。ただし、天災地変などの不可抗力による休業は該当しません。
「最低賃金(労働基準法第28条)」は、会社が従業員に対して最低限支払わなければならない時給のことで、正社員だけでなく全ての従業員に適用されます。なお、最低賃金の金額は各都道府県によって異なります。
「労働時間・休憩・休日(労働基準法第32条・34条・35条)」には、原則として1日8時間、週40時間を超えて従業員を働かせてはならないと定められています。また、労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分以上の休憩を与える必要があります。加えて、毎週1回以上の休日を与えなければなりません。
以上が、労働基準法の主な内容です。これ以外にも、「賠償予定の禁止(労働基準法第16条)」「賃金支払いの5原則(労働基準法第24条)」「時間外および休日の労働(労働基準法第36条・37条)」「年次有給休暇(労働基準法第39条)」などがあります。
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